フランソワ・ショソン版は、マルセイユで制作された、今までに知られている最古のマルセイユ・タロットです。
歴史家達は、公式にはフランソワ・ショソン版タロットの起源は不明であるとしています。しかし、私は2001年、祖父が所有していた資料を用い、優秀なタロットの歴史家達が集まるアメリカのフォーラムにおいて、これはマルセイユで制作されたタロットであることを明らかにしました。
これは非常に重大な発表でした。というのも、「玉の2」のカードに書き込まれた年代は1672年であり、フランソワ・ショソン版がマルセイユで制作された今までに知られている最古のマルセイユ・タロットであることを示しているからです。
さらに、マルセイユで制作された最古のマルセイユ・タロットの制作年は、1608年まで遡ることができます。これは私の研究を基にして後にロバート・オニール教授が推測したものです。以前は、最古のマルセイユ・タロットの制作年は1760年とされていました。したがって、最古のイタリア・タロットと最古のマルセイユ・タロットの間にあった約2世紀の年代の隔たりが、大幅に縮まったのです。
このテーマに関しては議論が起こり、フランソワ・ショソンは間違って制作年を彫り込んだという仮説を立てる人もいました。本当の制作年は1762年だというのです。しかしこれほど疑わしい説はありません。私自身、2年間をかけて78枚のタロット・カードをデザインし、この作業を成し遂げるには細心の注意を払うことが必要であると知っています。そこで申し上げるのですが、このように多くの時間を費やし、細心の注意を払って、フランソワ・ショソン版のような美しいカードを彫り上げた人物が、自分の名前と制作年を掘り込む段階で間違いを犯すなど絶対に考えられないことなのです。
したがって、フランソワ・ショソン版マルセイユ・タロットは間違いなく1672年に制作されており、これはタロットの歴史すべてを揺るがす事実なのです。
フィリップ・カモワン