1760年、ニコラ・コンヴェルは、マルセイユにおいて自身が彫り上げた版木を使ってタロット・カードの印刷を始めました。1760年版のタロットは、ステンシル(型紙)の技術を用いて彩色され、水色と緑をふんだんに使用していました。コンヴェル家とカモワン家の工房では、1世紀以上にわたって、同じ版木と同じ色彩を使用して、カードを印刷し続けたのです。
1世紀が経過すると、版木は擦り減り、印刷されたカードには1760年版のカードと異なる部分が出てきました。ここでは、19世紀後半に印刷されたニコラ・コンヴェル版のマルセイユ・タロットをご覧に入れますが、この頃版木はかなり擦り減っていました。その数年後、産業革命によって4色印刷機が登場し、新しいニコラ・コンヴェル版が誕生したのですが、この中では緑と水色は失われてしまったのです。
(1880年のニコラ・コンヴェル版を見る)